「伊豆文学賞」表彰式 最高賞の高部務さんに難波副知事が賞状授与

第25回伊豆文学賞(静岡県など主催)の表彰式が3月6日、静岡市の県コンベンションセンター「グランシップ」で行われ、各部門の受賞者をたたえた。表彰式では、小説「海豚(いるか)」で最優秀賞に輝いた小説・随筆・紀行文部門(賞金100万円)の高部務さん(千葉県浦安市)、掌編部門最優秀賞(賞金5万円)のこうずみきさん(愛知県豊橋市)らに実行委員長の難波喬司副知事から賞状が授与された。
「海豚(いるか)」は、江戸後期の沼津市などを舞台とし、山梨から出稼ぎで当地に居着いた漁師が、買い手のつかないイルカの肉を生かす道を模索する物語。高部さんは山梨の出身で、昔からイルカを食べる習慣があったが、なぜなんだろうと調べたことがきっかけ。静岡から運ばれてきていることが分かり、「女性セブン」「週刊ポスト」記者時代から培ったルポルタージュのノウハウを活かし、沼津の図書館などに何度も通って調べて書き上げた。

前年の伊豆文学賞では次位の優秀賞(賞金20万円=小説•由比浦の夕陽)だった高部さんは、受賞あいさつで「今回は最優秀賞を目指して応募した。必ずとるという思いが実を結んでとてもうれしい。調べれば調べるほど、歴史に埋もれた重要なものが見えてくる。受賞を励みに今後も書き続けていきたい」と話した。
表彰式後は、同文学賞の審査員である村松友視さん、嵐山光三郎さん、太田治子さん、諸田玲子さん、中村直美さんとの懇談会があり、諸田さんは「哀愁とユーモアのバランスが絶妙で胸を打つ素晴らしい作品。短い中でここまで描いた才に敬意を表します」と高部さんの作品を称賛した。


今回の伊豆文学賞には、両部門に454点(小説206点、随筆49点、紀行文12点、掌編187点)の応募があった。表彰式は6日に熱海市の起雲閣で行われる予定だったが、まん延防止等重点措置延長に伴い、同施設の貸し出しが中止になったため、静岡市のグランシップに会場を変更して開催した。当日は、審査委員の村松友視の特別講演も開かれた。
同文学賞では、今年2月に「塞王の楯」で直木賞を受賞した今村翔吾氏やヒット映画の脚本を手掛ける土橋章宏氏を排出している。
(熱海ネット新聞・松本洋二)

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