熱海市長選(9月4日告示、11日投開票)に立候補を予定している泉明寺みずほ氏(51)=熱海市議=の陣営は8月20日夜、起雲閣で市政報告会を開き、総決起した。新型コロナウイルスの感染者が増加しているのを受け、70席に入場者を限定したが、1時間前から満席で熱気に包まれた。
泉明寺氏は、熱海市が伊豆山土石流災害で法的な問題を多く抱えていることから、後援会長に同神社の崇敬者で元静岡県弁護士会長の中村光央氏(静岡市)が就いたことを踏まえ、「来月にも被災者犠牲者遺族らによる熱海市と静岡県に対する損害賠償裁判が始まる。司法の場で判断が出たら上訴せず、市は速やかに応じるべきだ」と熱弁。「市議会の100条委員会でも土石流災害の原因を追求しているが、経過を見ると市にも問題がある。熱海市で起きたことは市長の責任。市民を守べき人が、市民と戦うのはよくない。私は責任を取るために市長になる」と訴えた。
中村後援会長によれば、熱海市および静岡県への賠償請求は約60億円〜100億円。60億円とした場合、市が40億円、県が20億円が予想され、1年半後にも判断が出る見込み。市が上訴すれば、途中で和解勧告があったとしても、実際に支払われるのは数年先となると懸念した。
「現職の市長が現職のまま被害者に訴えられ、被告席に座るのは極めて異例。県の難波喬司前副知事は人災を認めているが、齋藤栄市長は責任を県となすりつけあうばかり。熱海市は市長を泉明寺さんに代えて、新しく生まれ変わることが必要だ」と話した。
応援に駆けつけた田中秀宝市議は「静岡県はお金があるから一発で払えるが、熱海市の財政調整基金(市の貯金)は約21億円。全額取り崩しても払いきれない。残額は被災者犠牲者遺族と交渉し、5年の分割にしてもらったり、新たな財源を確保する必要がある。それができるのが、現場に足を運び、女性の母親的な愛情で被災者と接することのできる泉明寺さん」と強調した。
熱海市の昨年度の歳入は、柱の市税が89億8千万円。今年度当初予算は196億5400万円。出席した市民のほとんどは、高額な損害賠償を求められているのは、盛り土の旧・現所有者。熱海市に対する請求額に対しては情報がなかっただけに、差し迫った市の財政に危機感を募らせた。
決起集会は、今宮神社・獅子神楽保存会の斉藤芳信会長のがんばろう三唱で締めくくり、「前を向こう熱海!」の合唱で士気を高めた。出陣式は9月4日午後1時から清水橋付近で予定している。
(熱海ネット新聞)
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