
熱海サンビーチの特設舞台で9月22日夜、「舞踊・常磐津・囃子と月の道薪能―熱海の森羅万象に捧ぐ」があった。日が暮れ、幻想的な月明かりと篝火(かがりび)がたかれた会場には、熱海湾の潮騒とともに「ヨー、ポン」の掛け声や鼓(つづみ)音が響き、およそ2000人の観客を幽玄の世界に誘った。
新作初演「月光」では、室生流能楽師・辰巳万満次郎さんシテを務め、おぼろ月が海面を照らす「月の道」を通って船で登場。ゆっくりと舞台に降り立ち、熱海の自然の美しさを讃える舞いを初披露した。
熱海では、満月の夜、相模湾の水面にこの地特有の自然現象である「月の道」が出現する。この夜も雲に覆われた幻想的な月明かりの下、闇夜に浮かぶ舞台の上で幽玄な様が繰り広げられた。
芸術の祭典「熱海芸術祭」の一環で行われ、今年で3回目。来宮神社の雨宮盛克宮司の舞台お祓いの儀に続いて熱海芸妓衆が「江戸祭り」「深川節」「三下り甚句」の舞を披露。火入れ式後は花柳あらたさんが常磐津「千代の夕鶴」が優雅に踊りを披露。辰巳満次郎さんが演じる大トリの能「乱(みだれ)」ではお約束のようにくっきりと月が姿を見せ、市内外から訪れた人たちが日本の伝統芸能を熱心に見入った。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
観客=2050人(主催者発表)
C17E041D-91A6-4316-9E5D-7C289CCC40EA
動画
新作初演「月光」
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。