
9月7日の市長選で3選された斉藤栄市長が、破った相手陣営の市議や関係者が関わる経済観光団体の観光振興予算の要望を拒んでいることが分かった。6日の市議会一般質問で佐藤元昭議員(爽心会)が市長に真意をただした。
同議員によれば、9月29日に予定されていた熱海市ホテル旅館協同組合連合会や熱海商工会議所、熱海市観光協会などの観光予算の要望が、市長訪問の3日前の26日になって当局から延期を伝えられたという。同議員は熱海ホテル旅館協同組合の副理事長で市長選では森田金清氏(前熱海市観光協会会長)を応援していたことから、「選挙報復か」の波紋が広がっている。
3期目の所信表明演説で「市民の負託を受けた今、それを妨げようとする者があれば、断固戦う」と宣言していた市長はこの日の答弁でも「市長選である団体による複数のビラに強い憤りを感じた」と怒りを露わにし、こう続けた。
「あるビラは作り話によって、私を誹謗中傷するものだった。またあるビラは7年間に渡り、多大な私財をなげうって熱海の花木を整備されてきた篤志家に対する非礼極まる内容。私は悪質かつ熱海市の品位を下げたこの行為を市長として許せない。この行為に加担した政治家、団体の役員には社会的責任がある。
私は候補者を応援したけど、ビラのことは知らなかったではすまされない。なぜなら政治家は民意を代表する公人であり、団体には補助金など市民の税金が使われているからだ。公人と団体はその社会的地位に見合う、責任を担わなければなならない。まず、そのことをしっかりと認識して頂きたい」
再質問で佐藤議員は「しがらみのない公平な市政を訴えて大差で当選した市長が、わだかまり、選挙のしこり、しがらみから抜けられないのは残念だ」と応酬すると、市長は「政治家が自らの信念で意思決定した行為をないがしろにし、もう終わったからノーサイド…。市長は我々の要望を聞けというのはあまりにも政治家として無責任。方向転換するのであれば、なぜ自分は今までこうで、これからはこういう風に、と有権者に説明するのが筋。新生熱海を実現させるための議案が、説得力のある説明なしに、万一、否決されるようなことがあれば、市民との約束を守るため断固戦う」とダメを押した。
市長の答弁に対し、佐藤議員は「もう駄目だ、お前はいらない、というのならいつでも身を引く気持ちはある。(任期は)来年3月まで。何もできないのであれば、ここにいる必要はない」と辞任をにおわせ、気色ばむ場面も。しかし、重苦しい空気を察したのか、質問終了後には、市長の方に視線を送り、「土下座しろというなら土下座しますよ」と言って笑いをとり、議場を和ませた。
(編集主幹・松本洋二)
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