
2013年10月6日
セーラー服に竹刀を持った女番長「スケバン恐子」や「がっかりだよ!」の決めフレーズで人気だったお笑いタレント桜塚やっくん(37=本名・斎藤恭央さん)が5日夜、山口県美祢市内の中国自動車道で事故死した。
彼女、いや彼には強烈な思い出がある。
以前に熱海の民間イベントに携わっていた際、イベントの当日に熱海駅で出迎えたことがあった。が、約束の新幹線が到着してもやっくんの姿がない。じりじりしながら20分後。これは乗り遅れたのだろうと思い、携帯に電話を入れると、「今熱海駅にいるんですけど、どうすれば…」の戸惑いの声。周囲を見回すと僕のほかにもう一人、改札口でただずむ青年がいた。
銀行員のような清楚な身のこなしで、日経新聞を小脇に抱えていた。素顔のやっくんはテレビで見るお笑いタレントとは別人のような常識人。本人が「僕の素顔は一般の方は誰も知らない。すっぴんで行きますので、目印に日経新聞を持っています」というのは本当だった。
元ジャニーズというプライドからか、あえてマネジャーを置かず、素顔のまま単身で行動することで独自のモチベーションを保っていたのだろう。
ところで、やっくんには「借り」がある。「実家が神奈川県にあり、熱海には子供のころからよく遊びに行きました」というテレビ番組での発言を頼りに「熱海のクリスマスツリーの点灯式に出てもらえないか」と打診したところ、他の条件のいい仕事を断ってまでして「熱海のイベントなら」と快諾してくれたのだ。
そこまでは良かったのだが、当方のマネジメント能力不足から、熱海でのクリスマスツリー設置を断念せざるを得ない状況となり、補償問題が浮上した。ここでやっくんに「話が違う」とごねられればれば、万事休すだったが、伊東市での代替開催案に「次回は必ず熱海に」を条件で快く応じてくれた。
約束通り、やっくんは佃弘巳市長とともに伊東市でのクリスマスツリーの点灯式に出て、代替イベントを盛り上げてくれた。しかし、「今度は熱海で」の約束を果たせないまま、斎藤恭央さんの姿で彼岸へ。悔いが残る。合掌。
【編集主幹・松本洋二】
伊東市に代替展示された高さ国内最大級30メートルのクリスマスツリー
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