熱海市代表監査委員・山田義廣氏、2017年度予算の監査報告 全文掲載

9月28日に開会した熱海市議会6月定例会で山田義廣熱海市代表監査委員が2017年度一般会計および各特別会計、公営企業会計各会計決算に対する監査報告を行なった。全文を掲載する。
(熱海ネット新聞)

🔸はじめに
本議会の認定に付されました、平成29年度熱海市一般会計・特別会計の決算、基金運用状況並びに公営企業会計の決算につきまして、地方自治法第233条、同法第241条及び地方公営企業法第30条の規定に基づき、その審査を求められましたので、杉山委員と共に慎重に審査を行いました。
その結果につきまして、監査委員を代表いたしまして、私から、ご報告いたします。
また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条及び第22条に基づく健全化判断比率及び資金不足比率にかかる審査につきましても、意見を申し述べさせて頂きます。
それでは、まず、審査を求められました一般会計、特別会計、基金運用状況及び公営企業会計の決算でございますが、いずれも関係法令に準拠して作成され、掲げられた計数は、関係諸帳簿と符号しており、正確であると認められました。
各会計の執行状況、計数等につきましては、すでに、お手元にお届けしてございます決算審査意見書に記載しておりますので、ここでは省略し、決算についての意見のみを述べさせていただきますので、ご了承下さい。

平成29年度の年間宿泊客数は308万8,140人で3年連続して300万人台の大台を超えたところでありますが、少子高齢化の進展や若年層の流出等による働く世代の減少は、税収の減少や医療費、介護費の増加に大きく影響します。
今後も大幅な税収増が見込まれない中、社会保障関係経費の増加に加え、各種公共施設の老朽化や耐震化対策、維持補修等にかかる経費の増加が見込まれます。限られた予算で事業を行うにあたり、効率的・効果的な財政運営に努め、市民福祉の向上に努めて頂きますようお願いします。
また、一般会計のみならず特別会計・公営企業会計を含めた、熱海市全体の健全な財政運営を強く期待いたします。

🔸一般会計の監査報告
それでは、まず、最初に一般会計でございます。
歳入総額は、188億4,879万余円で前年度と比較して2億8,654万余円1.5%の増加、歳出総額は178億4,217万余円で前年度と比較して1億8,788万余円1.1%の増加となりました。
翌年度に繰越す財源を除いた実質収支は、8億5,900万余円の黒字、今年度の実質収支から前年度の実質収支を差し引いた単年度収支は1,317万余円の赤字、さらに積立金を上回る積立金取崩し額があったことから、実質単年度収支は5億3,488万余円の赤字となっております。
歳入においては、歳入総額の51.8%を占める市税収入は、前年度と比較し323万余円減少しました。
一方、歳出については、庁舎改修経費が皆減したこと等により総務費が減少し、熱海駅前広場整備事業費の皆減等で土木費が減少したものの、エコ・プラント姫の沢の老朽化に伴う大規模保全工事の増額等による衛生費の増加、MOAあたみ幼児学園及び栄光熱海さきみ保育園の開園等による民生費の増加、第3分団及び第9分団詰所新設工事等による消防費の増加により、1億8,788万余円増加しております。

🔸特別会計の監査報告
次に、特別会計でございます。
そのうち国民健康保険事業特別会計及び介護保険事業特別会計、後期高齢者医療事業特別会計について申し述べます。
国民健康保険事業特別会計の歳出決算額は、前年度に比べ3億2,087万余円減少しております。これは前年度に比べ被保険者数が減少していること等により保険給付費が2億8,504万余円減少したこと等によるものです。
なお、高齢化の進行に伴う後期高齢者医療制度への移行等による世帯数・加入者数の減少により年間総医療費は減少しております。
介護保険事業特別会計の歳出決算額は、前年度と比較して、3億2,563万余円増加しております。
これは保険給付費の増加や超過交付となった多額の平成28年度国・県負担金等を返還したこと等によるものです。
人口が減少する一方、介護出現率が急速に高まる75歳以上の後期高齢者数は今後も増加し、支出の89.9%を占める保険給付費や一般会計繰入金は今後も引き続き増加するものと見込まれます。地域支援事業をより一層充実させることで、被保険者が要介護・要支援状態となることの予防等に努めていただくようお願いいたします。
後期高齢者医療事業特別会計につきましては、高齢化の進行に伴い、被保険者数は毎年度増加し、平成27年度と比較すると7.6%増加しているところでありますが、後期高齢者医療広域連合納付金及び一般会計繰入金の伸び率は、それ以上になっております。

🔸基金運用状況
次に基金運用状況について申し述べさせていただきます。
育英資金貸付償還状況については、償還率は87.6%で、前年度を3.9%下回りました。今後も制度の主旨を踏まえ、未収金の回収に努め、効率的な運用をしていただきたい。なお、各基金の運用状況報告書の計数は、関係書類と符合し正確であり、適切に運用されていることが認められました。

🔸公営企業会計の監査報告
次に公営企業会計について申し上げます。
公営企業の水道、下水道、温泉事業の各会計決算審査にあたっては、市長から提出された決算書類が、関係法令に準拠して作成されているか、各会計の経営成績及び財政状態を適正に表示しているかどうか検証するため、会計帳票・証拠書類との照合等通常実施すべき審査手続きを実施したほか、必要と認められるその他の審査を実施しました。
また、各会計の経営状況を把握するため、計数の分析を行い、経済性の発揮及び公共性の確保を主眼として考察しております。
なお、決算の概要及び経営成績、財政状態については、決算審査意見書をご覧いただき、ここでは、特に、各事業の剰余金処分や改善を要する事項について、意見を申し述べさせていただきます。
3会計に共通することですが、保有する資産の老朽化に伴う更新投資の増大や人口減少を始め節水型機器の普及による料金収入の減少等により経営環境は厳しさを増しています。計画的かつ合理的な経営を行うことで経営基盤の充実と強化に努めていただきたい。

🔸水道事業会計
水道事業会計の平成29年度の当年度純利益は、2億5,774万余円となりました。
なお公営企業会計の当年度純利益は、いわゆる「儲け」ではなく、公共的必要余剰として資本的収入額が資本的支出額に不足する額の補てん財源として、建設改良費、企業債償還金等の資本的支出の財源として使用されるべきものであります。
平成29年度水道事業会計をはじめとする各公営企業の決算で生じた未処分利益剰余金を処分するにあたっては、議会に対して十分な説明をし、議会の同意を得た上で、必要な処分がなされるようお願いします。

🔸県営駿豆水道
次に「県営駿豆水道」であります。
県営駿豆水道は、施設整備費を含め、事業運営には多額の経費を要することから、県はこれら経費を回収するため、基本料金の割合を大きく、使用料金部分の割合を小さくして料金を徴収しております。
人口減少等により、水需要は減少傾向にあり、静岡県との契約水量が1日あたり60,000立方メートルであるのに対し、17%程度の利用にとどまっているところではありますが、基本料金として1日あたり180万円を負担しなければならず、基本料金の硬直性が、給水原価を引き上げ、水道事業の財政を大きく圧迫し、市民に多大な負担をもたらす要因となっております。駿豆水道にかかる依存度及び財政負担の軽減を図るべく、自己水源確保については、熱海市水道事業ビジョン・熱海市水道事業基本計画に基づき新たに認可を取得した新水源・浄水場の整備を進めることについて費用対効果の観点を含め検討するとともに、受水費については、契約水量削減による減額を求めても、その減額分を他へ転嫁される可能性もあるため、調整が困難となることも予測されますが、引き続き見直しに向け、関係市町と連携し、県企業局と協議を進めいただきたい。

🔸下水道事業会計
次に下水道事業会計ですが、
平成29年度の当年度純利益は、3億152万余円となりました。
営業損益は昨年度に引き続き改善したものの、3億2,776万余円の損失です。下水道使用料は営業収益の99.9%を占めていますが、汚水処理原価が使用料単価を上回り、使用料回収率は69.53%にとどまります。公営企業の理念に基づき、よりいっそう効率性、経済性を発揮して事業に取り組んでいただきたい。

🔸温泉事業会計
次に温泉事業会計ですが、
平成29年度の当年度純利益は、5,867万余円となりました。
温泉供給料金は営業収益の96.9%を占めておりますが、有収湯量1㎥あたりの販売利益は、平成27年度と比較すると43.2%低下しており、営業利益を低下させる構造となっております。公営企業の理念に基づき、よりいっそう効率性、経済性を発揮して事業に取り組んでいただきたい。

🔸財政健全化判断比率及び資金不足比率
次に、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条及び第22条に基づき審査に付された財政健全化判断比率及び資金不足比率について申し上げます。
審査の結果、財政健全化判断比率、資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類は、いずれも関係法令に準拠して作成されており、正確に算定されているものと認められました。
健全化判断比率の審査内容ですが、実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率について審査を行った結果、4つの指標全てについて、是正改善を指摘する事項はありませんでした。
また、資金不足比率は、審査を行った5会計共に資金不足比率は算定されず、是正改善を指摘する事項はありませんでした。
引き続き健全な経営に努められるよう要望します。

🔸おわりに
最後に、本市におきましては、社会保障関係経費の増加に加え、各種公共施設の老朽化対策等にかかる経費の増加は、将来の財政状況に不安を抱く要因となっているところではありますが、財政基盤の強化を図るとともに、なお一層の効率的な行財政運営が行われることを期待いたしまして、熱海市各会計決算の監査委員審査報告を終わらせていただきます。

平成30年9月28日
熱海市代表監査委員 山田義廣

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