【市政】起雲閣、4月から「市直営」に転換

熱海市指定有形文化財「起雲閣」の指定管理者をめぐる問題で、斉藤栄市長は26日、市議会2月定例会に「指定管理の議案」を出さないことを明らかにした。これにより、現在の指定管理者「NPO法人あたみオアシス21」(以下オアシス)との契約は3月31日で満了。来年度の管理者は決まらない事態となり、4月から市の直営に先祖返りすることになる。

市は11月定例会で「非公募(特命)」でオアシスに継続指定する議案を出したが、議員から「公募で選ぶべき」の反対意見が続出、本会議で4-8(棄権退席3)で否決された。議会側は2月定例会で市が「今回は特命とし、今後の指定管理者指定は公募」の妥協案を出すことで幕引きを図るものと予想していたが、市長は議案そのものを提出しない予想外の方向に舵を切った。

市長は4月の市議選をにらみ、新たな陣容となる選挙後の6月定例会で「特命でオアシスを起雲閣の指定管理者」とする議案を出し直す考えだ。決まるまでの期間は市の直営となるが、市は財政改革に伴う職員削減で「15人ほど職員が不足している」(斎藤市長)状況にあり、実質的には直営は難しい。そこで当面は現在のオアシスに業務委託し、この間に指定管理の在り方や特命(非公募)について明確な文書を作成し、6月定例会の議決を受けて10月から新たにオアシスと正式契約を結ぶ考えだ。

問題は、議会と市民の理解が得難いこの市長決断をオアシス側が受け入れるか。オアシスの中島美江会長は26日、起雲閣で記者会見し、「市長からは6月議会で特命で再提出するので協力して欲しいと。起雲閣のことを第一に考え、受ける方針です」と語った。記者の「6月議会で否決される可能性もあるが?」の質問には「絶対に通る、という話でした」と語気を強めた。

ただ2月定例会で業務委託に関する予算案等が通らず、12人いるスタッフの給与や現在の役職などが担保できなければ、「受けられない」とも話した。市長には「もう少し議案を通す努力を」。議会には「起雲閣を見て頂き、現実を把握したうえで最初に公募ありきを考えて頂きたい」と注文を付け、会見を締めくくった。
(主幹・松本洋二)

◇斉藤栄市長の話 議会で否決されたことを重く受け止め、27年度はやむを得ず、市直営の運営を考えている。原則公募だが、文化施設などは特命という選択肢もある。

 

【経過】
◇昨年11月18日 11月定例会本会議で市長提案のオアシスを特命で指定管理者にする議案を4-8(棄権3)で否決。
◇1月19日 市長が中島氏らオアシス幹部を市長室に呼び、二元代表で決まったこと(議会で否決)を受けとめてほしい。6月に特命でオアシスにやってもらう議案を通す」と説明。
◇1月22日 市長が起雲閣にオアシス幹部を訪ね、あらためて「6月議会で特命指定管理者にすること」を約束。「それまで市を助けてほしい」と要請。

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