
「小説神髄」で知られる文筆家、坪内逍遥(1859~1935年)の寄贈図書を基に設立された熱海市立図書館が10日、創立100周年を迎え、起雲閣音楽サロンで記念式典を開いた。
熱海市立図書館は、1915年(大正4年)11月10日、大正天皇の即位記念事業として開館。晩年を熱海市で過ごし、熱海をこよなく愛した逍遥は、図書館設立の際に自分の蔵書3千冊を熱海町(当時)に寄贈し、これに町の有志の寄贈書も含め、5657冊で創立した。静岡県で最も古い歴史を誇る。現在の蔵書は約9万6千冊。
式典では逍遥が作詞した熱海市歌を歌い、斉藤栄市長、藤曲敬宏県議、河原﨑全県立中央図書館館長があいさつ。市史編纂(へんさん)に携わった図書館の嘱託職員、梅原郁三さんが記念講演した。
18日から江戸時代に読まれた辞書など逍遥が寄贈した図書の特別展示を行う。
◇逍遥と熱海 明治45年に糸川沿いに別荘を構え、昭和10年に大正9年から15年間過ごした市内水口町の双姉舎(逍遥の私邸)で77歳で没した。翌年から命日には近親者や市、熱海稲門会(早稲田大OB)の有志が追悼行事を実施。熱海市歌を作詞、図書館の創設に尽力するなど市の文化振興に大きな功績を残した。
◇熱海市歌 作詞:坪内逍遥 作曲:弘田龍太郎
一. 真冬を知らざる常春熱海 真夏も涼しき秋の海辺に 千歳を湧き湧くくすしきいで湯 病めるも怠り憂いも忘る ああこの楽土は我が住む町
ニ. 貴賤をわかたず東西とわず 喜び迎えてともに楽しむ 進める文化になす業しげく 疲るゝ人々来ませやここへ わがこの熱海は共有国宝
三. 真冬を知らざる常春熱海 真夏も涼しき秋の海辺の くすしきいで湯は世界に知られ 万里の涯より千客いたる わがこの熱海は世界の公園
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