
11月18日放送のNHK大河ドラマ「西郷どん・さらば、東京」編に熱海にゆかりのある歴史人物が登場していた。明治維新の新政府樹立と共に、ほとんどの公卿が閑職に追いやられた中、議定(ぎじょう)となり、副総裁、太政大臣などを歴任。のちに内閣総理大臣を務めた幕末・明治の政治家三条実美(さんじょうさねとみ)である。
この日の放送では、明治6年の征韓論をめぐる政府内での対立で、西郷隆盛らの征韓派と岩倉具視、大久保利通らの征韓反対派の板挟みになり、苦慮する明治時代の朝廷の最高職である太政大臣の苦悩が描かれ、その三条実美の役を野村万蔵さんが演じていた。
なぜ三条実美の話を紹介したかというと、この人物が書いた「熱海学校」の扁額が19日まで起雲閣で開かれた市の「お宝発見!熱海の学校で見つけた歴史資料」展で特別公開とされていたからだ。
「熱海学校」は明治6年に長屋風の校舎で新横丁(現中央町)に開校。同10年に御殿跡地(現熱海市役所)に移され、西洋風2階建てのモダンな校舎に新築された。この扁額は翌11年に三条実美が揮毫(きごう)したものだという。
三条実美は明治12年の熱海富士屋旅館の宿帳にも宿泊の記載があり、13年には松方正義(蔵相、のちに内閣総理大臣)を従え、軍艦で熱海に来ている。熱海に三条、岩倉など多くの政治家、財界の要人が訪れ、「東京の奥座敷」の異名をとった隆盛ぶりがうかがえる。
145年の長い歴史と伝統を持つ「熱海学校」は現在の第一小学校。20日からは同校に戻り、これまでのように校長室前に飾られる。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
🔸三条実美(さんじょう・さねとみ)幕末・明治時代の公卿(くぎょう)、政治家。天保8年(1837)生まれ。京都梨木町の三条実万(さねつむ)の第4子。尊攘(そんじょう)派公卿の中心人物として活躍したが、文久3年八月十八日の政変で長州にのがれる(七卿落ち)。王政復古後、新政府の議定となり、副総裁・輔相などの要職を経て、太政大臣にのぼる。明治22年一時首相を兼任。明治24年死去、55歳。
三条実美役の野村万蔵さん=NHK「西郷どん」より
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