
カジノ誘致にギャンブル依存症などを理由に「反対姿勢」を打ち出している斉藤栄市長に川口健議員(爽心会)が再考を迫った。11日の市議会一般質問。同議員は「カジノ合法化及びギャンブル依存症対策」について質問し、「厚生省研究班によれば日本のギャンブル依存症の疑いがある人は536万人いると推定されている。パチンコやパチスロ、宝くじ売り場は熱海市にもあり、その予備軍も含め、市はどのような依存症対策を考えているのか」とただした。
斉藤市長が「国や自治体が対策を講じていくことが大切」と答弁すると、「私も同感」としたうえで「賭けごとは勤労意欲を減退させ、依存症をもたらす。カジノを合法化をする場合、こういった社会的な側面をケアし、対処する仕組みが大切。法の下でコントロールし、しっかりと税を取り、税の収入からギャンブル依存症を最小化する財源の確保をするべきと考える」と持論を述べた。
「臭いものにはふたをするとか、危ないものは使わない、近寄らない、見て見ないふりをする。少人数だけの議論ではなく、依存症に対しては実際財源もなく何もできていない現状は市民のためとは思えない。日本にカジノができる場合に備え、熱海に進出を検討する会社の情報を収集しながら法案の進捗状況を見つめていくように強く要望する」と語気を強めた。
逆説的な言い回しではあるが、川口議員が言いたいのは、現状のようにギャンブル依存症対策を放置するのではなく、カジノで得た税収を財源にカジノばかりでなく、パチンコ、パチスロ、公営ギャンブルなどの依存症対策を行う手もある、という前向きな提案である。
背景に透けて見えるのが、熱海市が所有する姫の沢公園での「カジノ構想」だ。姫の沢公園は年間2000万人超の観光客が訪れる箱根町からも近く、東駿河湾環状道路の開通で東名沼津インターチェンジと熱海の移動時間が短縮。富士山のビューポイントもあることから海外の投資家が注目しだしたという背景がある。
周辺には多くのゴルフ場や熱海梅園、熱海と箱根の温泉があり、総合型リゾートになりうるという判断だ。これまで熱海市には具体的なカジノの誘致プランがなかったが、おぼろげながら具体案が見えてきたことで「反対の撤回」を求めたものと思われる。誘致の最大のネックが「ギャンブル依存症」にあることから、あえてその不安を認めたうえで「逆手」にとって斬り込んだ手法は見事だ。
(編集主幹)
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