【市長選】公務員の醍醐味「キャリア官僚が熱海で本当にやりたいこと」 人間力比較・さいとう栄編

仕事始め式があった今年1月6日、幹部職員を前に年頭訓示した市長の話が印象深い。滅多に本音を明かさない男が、珍しく腹の中をのぞかせた。

「公務員の醍醐味とは何か」と問いかけた斉藤はこう続けた。
「私も元々国の国家公務員だ。公務員の醍醐味とは何か。それは国あるいは市の予算、あるいは人員を使って自分の夢を実現させることだと僕は思っている。もっと言えば、自分の夢を実現するために行政を動かすことも含まれる。皆さんも何をしたいのか、テーマを持ち夢を実現することが、市民の向上、職員一人ひとりの幸せにつながる」

なぜこの話を持ち出したかと言うと、今回の立候補に当たり、市長がこの2期8年間を振り返って「1期目は借金を5割減らし、2期目で8割減らした。財政再建のめどが立ち、3期目はやっと本当にやりたいことができる」と話しているからである。
彼が言う本当にやりたいこと、公務員の醍醐味とは何なのか。実は年頭からずっとこのことを考えていた。

斉藤は昭和63年に国土庁(現国土交通省)に入庁した。東京工業大で土木工学を学んだのもキャリア組で国家公務員に就く1つの手段。それもまた次へのステップで国土庁では11年働いて退職。この間、公費で2年に渡って名門デューク大(米ノースカロライナ州)の大学院に留学、MBA(経営学修士)を取得した。デンマークの大学に交換留学したり、チェコやスペインを訪問したりもしている。おそらくこれも「自分の夢を実現する」ためのプロセスだったのだろう。

退職して美容院の店長や福祉専門学校で実社会を体験した後、岩國哲人衆院議員(元出雲市長、民主党)や藤末健三参院議員の政策秘書になり、永田町で「熱海市で市長候補を探している」という情報をキャッチして平成18年の市長選に立候補。現職の川口市雄を62票差で破り、初当選した。
すぐさま「財政危機宣言」を発し、就任時40.9億円あった市の負債を平成25年度には6.9億円まで減らし、この間基金(貯金)を約25億円積み増した。職員数を21%削減し、職員給与も30.6%削減した。

彼の人気が高いのは、この日産自動車のカルロス・ゴーンCEOばりのコストカッターとしての手腕。黒塗りの市長専用車は赤く塗装を施され、現在も市消防で現役で使われている。このような財政再建への取り組みが評価されているのだが、これも本意ではあるまい。

国土庁で米国に留学した際には「海外リタイアメント・コミュニティ・ビジネス」を研究している。日本に住む高齢者が、海外で長期滞在を楽しむことを支援するビジネスだ。カリフォルニアワインの生産地で知られるサンフランシスコ郊外のナババレーなどに数十世帯が住める集合住宅を買い取り、そこを舞台に、質の高い毎日の生活を楽しみながら、新しいことを学んだり、地元の人たちと交流する仕掛けを付けたコミュニティ造り。移住するのではなく、ビザなしでもOKの最長90日の滞在で米国と日本を3カ月交代で長期滞在を繰り返すシャトル構想だ。

あくまで想像だが、ナパバレーを熱海市に、日本を東京に置き換えて”公務員の醍醐味”を具現化させようとしているのではないか。いや、もっと素晴らしいアイデアがあるのかもしれない。そう考えれば、キャリアの国家公務員が美容院や福祉関連の学校に身を置いたのも、熱海市に落下傘で降下してきたのも合点がいく。夢を実現するために。

「公務員の醍醐味」となる最終章がスタートするのか、待ったがかかるのか。日曜夜に答えが出る。

(編集主幹・松本洋二)

敬称略=おわり

写真=篤志家の支援を受け、梅園の梅、あたみ桜、ジャカランダを整備した斉藤が次に掲げるのは「新生熱海」

 

 

 

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