

熱海市のMOA美術館は12月4日、サッカー元日本代表MF・中田英寿氏、人気パティシエ・鎧塚俊彦氏、漆芸家・室瀬和美氏を招いたトークショー「工藝と食」を開いた。日本博が主催する食事会を通して工芸を身近に感じるプロジェクト「Kōgei Dining」の関連企画として同美術館能楽堂で開催した。
中田氏は現役引退後、日本全国47都道府県を巡り、伝統工芸や農業などの日本の良さを世界に発信し続けている。今年4月からは立教大経営学部の客員教授も務め、日本の伝統産業の再生や新規ビジネスについて講義している。
中田氏は「21歳の時にイタリアへ行き、7年ほど住んだ。イタリアの著名選手の多くが自分のワイナリーを所有している。自分もワインを研究したが、当時分からなかったことが、全国約400の日本酒の蔵元を回る中で醸造の奥深さを知った」と話し、「フランスやイタリアの人に日本酒の魅力を紹介する機会が増え、様々な質問を受ける中で日本酒とワイン作りは同じだと…。それがワイン研究に生きている」と続けた。

自身の日本酒の評価基準については「バランス」を挙げ、「口の中で甘さや辛さが味わえ、のどに入る際は何も味が残らず、水のようにすっと入るのがベスト」と説明。また、同じ銘柄の日本酒でも漆器(うるし)、陶器(焼き物)、ガラスでは味が違い、飲み比べるも楽しいと推奨した。
トーク終了後は、「Kōgei Dining」の食事会が行われ、熱海地上りの伊勢海老や甘鯛、アジ、小田原の鹿肉を使った豪華創作和食とともに鎧塚氏が調理したデザート、中田氏がこの日の料理に合わせてチョイスした日本酒が登場。注目の日本酒の銘柄は「十四代 純米大吟醸 龍の落とし子」(山形県)と「満寿泉 貴醸酒」(富山県)だった。
(熱海ネット新聞)
■日本博 東京五輪・パラシンピックを機に全国各地で日本文化を発信するイベント。日本政府の主催。



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